540「KANO」後日譚

「KANO」のメンバーだった上松耕三(ピューマ族名アジマツ,後に陳耕元)と蘇正生の卒業後の一端が分かった。嘉義農を卒業後ふたりは創設間もない横濱専門学校(1928年創立,現神奈川大学)の5期生として1932年に入学している。入学後も野球を続け,入学まもなくの横濱高工(現横浜国立大学工学部)との試合に出ていることがわかった。

『横濱學報』第13号(昭和7年5月25日)に「濱の早慶戦を覆し本校高工に雪辱成る」の記事があり,試合(5月11日,横濱公園球場)の模様やメンバー表に「上松」(サードで2番バッター)と「蘇」(センターで7番バッター)を発見した。また,同上19号(昭和8年1月25日)には野球部の写真がある。小さくて判読できなかったが,ふたりが映っている可能性が高い。(以上は神奈川大学アーカイブズによる)

上松は司馬遼太郎によって「千金の小姐」と呼ばれた蔡昭昭との結婚,次男・陳建年が原住民初の台東県庁になったこと,孫娘・陳瑩が中華民国6回・7回・9回の立法委員(プユマ族選出)であることは昨日触れた古川著にある。蘇は卒業はせず3年後に台湾に戻っている。

横濱専門学校の創設者の米田吉盛(1898.11.10-1987.5.17)は愛媛県人で10代の頃に基隆にあった金物店に勤めていたことがあり,愛媛県人・近藤兵太郎が監督だった「KANO」となんらかの繋がりがあったのかもしれない。

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--古川勝三著『日本人に知ってほしい「台湾の歴史」』→http://d.hatena.ne.jp/akamac/20141023/1414072598
--加瀬英明著『日本と台湾――なぜ,両国は運命共同体なのか――』→http://d.hatena.ne.jp/akamac/20140922/1411396959
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