書誌情報:筑摩選書(0174),238頁,本体価格1,500円,2019年4月15日発行
- 作者:新井 一二三
- 発売日: 2019/04/15
- メディア: 単行本
「台湾人で,かつて日本による植民統治を受けたことを知らないという人に会ったことはない,しかし,その反対の経験はいくらでもある」(154ページ)。
台湾でコラムニストとして活躍する著者は,歴史,言葉,神話,建築,地名・人名,中国,映画・旅と縦横に物語を紡ぐ。台北の既得権層「天龍人」のルーツが植民地時代の日本資産にあることや台南の台湾語のレベルなどさりげなく披露し,太平洋戦争末期に高座海軍工廠(神奈川)でまだ10代の台湾人少年が8千人も働かされていたことにも触れる。
冒頭引用した言葉は日本と台湾で同名の鉄道駅が32も存在する理由に触れた箇所からである。松山もそのひとつであり,同じ松山空港が日本と台湾にある。日本統治時代の建物,地名は「戦後初期から意図して保存されたものではなく,国民党政権の不作為により,長い間放置され続けた結果,歴史の偶然として,生き残った」(150ページ)。
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--古川勝三著『日本人に知ってほしい「台湾の歴史」』→http://d.hatena.ne.jp/akamac/20141023/1414072598
--加瀬英明著『日本と台湾――なぜ,両国は運命共同体なのか――』→http://d.hatena.ne.jp/akamac/20140922/1411396959
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