1247映画「ミス・マルクス」に託けて

NHKニュースウオッチ9(2021年9月16日)で9月4日に封切られたばかりの映画「ミス・マルクス」(→https://missmarx-movie.com)を取り上げ,マルクスや『資本論』が再び脚光を浴びていることを報じていた。「ミス・マルクス」はマルクスの三女で末娘のエリノアが主人公で,父カールの思想を体現する後継者として活動しながら,エイブリングとの出会いによって葛藤を抱えることになったエリノアを描いている(「「資本論」ブームのマルクスの“伝説の娘”とは? 映画『ミス・マルクス』本編映像解禁!」→https://tokushu.eiga-log.com/new/92405.html)。四国では唯一松山で10月に上映されるようだ(シネマルナティック)。

ニュースでは,スザンナ・ニッキャレッリ監督へのインタビューのほか,書店に並ぶ白井聡著『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社[isbn:9784492212417])や斎藤幸平著『人新世の「資本論」』(集英社新書[isbn:9784087211351]),そして岩波文庫版『資本論』を撮し,全国各地で『資本論』の読書会も開かれている様子を伝えていた。監督はインタビューでエリノアの手紙はすべて読んだと語っていた。

エリノアについては都築忠七著『エリノア・マルクス 1855-1898——ある社会主義者の悲劇——』(みすず書房1984年,[isbn:9784622005872])がもっとも詳しい。

NHKの他の番組「100分 de 名著」でもそうだったが(すでに指摘したように),日本語版『資本論』といえば,新メガの成果も訳に入れ込んだ新日本出版社版ではなく,すでに死んでしまった岩波文庫版である。新日本出版社版は「日本共産党中央委員会社会科学研究所 (監修)」なのでなにかと忖度してしまうのであろう。なにしろ官房長官日本共産党は「敵の出方論」を捨てていないと語るほどだから。翻訳に加わったひとりとして新日本出版社版を下記に大撮しにしておく(「関連エントリー(その1)」)。

また,マルクス一家にかかわる資料についてはかつて3回触れたことがある(「関連エントリー(その2)」)。

-関連エントリー(その1)
--新版『資本論』第12分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/07/11/090832
--新版『資本論』第11分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/05/13/141438
--新版『資本論』第10分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/03/16/135351
--斎藤幸平著『NHK 100分 de 名著 2021年1月 カール・マルクス 資本論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/01/13/143740
--新版『資本論』第9分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/01/09/160650
--「100分 de 名著」105『資本論』(第1回)→https://akamac.hatenablog.com/entry/2021/01/05/171045
--新版『資本論』第8分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/11/14/233000
--新版『資本論』第7分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/09/11/154303
--新版『資本論』第6分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/07/15/165336
--新版『資本論』第5分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/05/16/170332
--新版『資本論』第4分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/03/15/090000
--新版『資本論』第3分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/01/22/211743
--新版『資本論』第2分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2019/11/14/222946
--新版『資本論』第1分冊→https://akamac.hatenablog.com/entry/2019/09/13/183405
--『資本論』6(第2巻第2分冊)第17刷→https://akamac.hatenablog.com/entry/20180810/1533906829
--『資本論』6(第2巻第2分冊)第16刷→http://d.hatena.ne.jp/akamac/20150507/1431007308
--『資本論』6(第2巻第2分冊)第15刷→http://d.hatena.ne.jp/akamac/20100222/1266846737

-関連エントリー(その2)
--大村泉/窪俊一/R. ヘッカー/V. フォミチョフ編集『わが父カール・マルクス――マルクス伝の歴史を変えたフレディ書簡――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110829/1314629768
--マルクス家の愛犬ウィスキー→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080527/1211882548
--大村泉・窪俊一・V.フォミチョフ・R.ヘッカー編集『ポートレートで読むマルクス――写真帖と告白帖にみるカール・マルクスとその家族――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070318/1174204667

-1年前のエントリー
--餃子で京都の学生を支えた王将→https://akamac.hatenablog.com/entry/2020/09/16/155454
-2年前のエントリー
--国立トレチャコフ美術館所蔵ロマンティック・ロシア→https://akamac.hatenablog.com/entry/2019/09/16/173925
-3年前のエントリー
--南硫黄島と進化論(NHKスペシャル)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20180916/1537103161
-4年前のエントリー
--研究における特定不正行為(捏造,改ざん,盗用)の公表(その9)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20170916/1505567520
-5年前のエントリー
--トップ10ショット(卓球ワールドツアー・ブルガリアオープン)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20160916/1474029007
-6年前のエントリー
--エクトル・ガルシア著(濱田真由美・濱田和久・関佳代訳)『コモエスタ・ニッポン!――世界で最も読まれているスペイン語ブログのひとつは日本ガイドだった――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20150916/1442412408
-7年前のエントリー
--田内晴奈原案・作画『近藤兵太郎物語――球は霊なり――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20140916/1410874770
-8年前のエントリー
--スーダンで活躍する医師の強い意志→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130916/1379340930
-9年前のエントリー
--映画『〜放射線を浴びた〜X年後』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20120916/1347800377
-10年前のエントリー
--明日から経済理論学会第59回大会(立教大学)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110916/1316183168
-11年前のエントリー
--第23回慶應義塾図書館貴重書展示会:経済学の源流−欧米諸都市が育んだ100の古典→https://akamac.hatenablog.com/entry/20100916/1284644565
-12年前のエントリー
--『愛媛大学「研究室からこんにちは!」』3→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090916/1253109257
-13年前のエントリー
--嶋崇著『いまこそ『資本論』』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080916/1221557443
--ダーウィン生誕200年記念進化学プレ・シンポジウム2008→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080916/1221557444
--大学犬はなちゃんの日常(その78)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080916/1221557445
-14年前のエントリー
--おさぼり