書誌情報:宝島社,263頁,本体価格1,400円,2015年3月23日発行
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著者はスペイン生まれのソフトウェアエンジニアで2004年から東京在住とのこと。著者の経験と調べたことをもとに日本と日本文化についてスペイン語ブログを書いてきた。世界で読まれているブログトップ1000のひとつになっている。
歴史,美術,文化,伝統,会社,社会,現代,漫画,音楽,映画の項目で冷静な日本ガイドになっていた。過去150年の間に破滅からその都度立ち上がることができた理由のひとつに武士道(儒教)をあげ,日本で窃盗がきわめて少ないのは誰かから物を盗めば持ち主の心の一部を奪ってしまうという神道の考え方があるから,と分析していた。日本人の本音と建前の二面性や会社・組織との関わりについても宗教的帰依を手がかりにした見方になっていた。
「日本人は,学校でも会社でもかなりコントロールされている。彼らは常に規則に従わなければならないんだ。自分のいる階層や年齢によって,周囲の人々に経緯を占め差投げればならず,抑制されて生きている」(216ページ)。もっともこれはマンガ流行の理由を説明する文脈なのだが,ヨーロッパ人からはそう見えるのか。
日本では出産したときに医者や看護師にプレゼントを贈るらしいとある(76ページ)。公立病院ではむしろ表だって禁止されているよ。また,日本では大きなフェミニスト運動が一度も起きなかった(188ページ)もちょっと違うと思う。
日本大好きスペイン人が書いた本書は外国や外国人が日本や日本人をどう見ているのかを知る恰好の素材だ。
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