943川口マーン恵美著『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』

書誌情報:講談社+α新書(628-1 D),188頁,本体価格838円,2013年8月20日発行

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ドイツ在住30年という著者の日独比較論をおもしろく読んだ。宅配便のすぐれたサービス,尖閣諸島を例にした軍隊,根強い日本=「フジヤマ,ハラキリ,ゲイシャ」像,フクシマと脱原発,休暇,外国人労働者論,教育事情,鉄道,閉店時間法,EU自動販売機などをテーマにしていた。
これがドイツやドイツ人であるという部分にさほどの驚きはなかった。それでもゴミ収集人にドイツ人がいないし,介護には東欧出身の女性が多いという事実から日本が学ぶことは多いはずだ。
東日本大震災のとき,ドイツのメディアでは原発事故の危機的状況を報じるのに躍起だったという。いち早く駆けつけたドイツの救援隊は2日後に活動を中止したし,ドイツ大使館は大阪の総領事館に業務・機能を移し,BMWVWなどの社員はほとんど帰国した。原発事故処理という危険な作業に従事しているのはホームレス,外国人労働者,未成年者だとの報もあったらしい。
ドイツの目から日本を,日本の目からドイツをみつつ,やはり日本はいいよねと日本に軍配を上げている。日本人の「愛国心」をくすぐるところが日本人である(だった?)著者らしい。