982マイケル・ブース著(寺西のぶ子訳)『英国一家ますます日本を食べる』

書誌情報:亜紀書房,212頁,本体価格1,500円,2014年5月29日発行

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原著(SUSHI AND BEYOND: What the Japanese know about Cooking)にはあるが前著(関連エントリー参照)に収録されなかった章に番外編(城崎温泉)とエピローグを追加していた。柳の下の泥鰌を狙いつつもまだ泥鰌を食してはいないようだ。
築地,味の素本社,焼津,天城山かっぱ橋,東京と京都での料理教室,京都・枯山水高野山,松阪,志摩,香川,下関,沖縄と「食べるために生きている国」日本の食紀行はよく調べて書いてあった。築地では「借金をしてでも,車を売ってでも,死ぬまでに必ず今の古い市場を訪れてほしい」(22ページ)とぞっこんだった。伊勢志摩・英虞湾の相差(おうさつ)に行き「日本には世界のどこにも引けを取らない美しい自然がある」(131ページ)と食から自然への切り替えもいい。
マグロの取引では世界最大の食品会社のトゥルー・ワールド社が文鮮明と関わりがあるとかルイ14世が醤油を珍重したとか,新しくネタを仕入れることができた。
「日本の食べ物は,日本そのものだ」(208ページ)と外国人に言われても著者が食べたのは店で出されたものが大部分だ。著者にとって難易度が高いらしい食感の「とろろ」やきんぴらごぼう,肉じゃがなど庶民の和食(実はわが家の定番食)もずんだ餅や海鞘など各地の珍味(実は評者の大好物)もまだまだあるぞ。