1597ノリーン・ジョーンズ著北條正司・白籏佐紀枝・菅紀子訳『第二の故郷——豪州に渡った日本人先駆者たちの物語——』

書誌情報:創風社出版,221+21頁,本体価格1,800円,2003年11月5日発行

1942年より以前の西オーストラリアには日本人が54カ所に居住し,76種類もの異なる職業についていたとある。また,ヨーク岬半島ニューギニアの間のトレス海峡にある,採貝漁業(真珠産業)の拠点だった木曜島には和歌山と愛媛出身のダイバーが多くいた。さらに西オーストラリア北西部の印度洋に面したブルームも採貝漁業が盛んでここも和歌山と愛媛出身者が多数を占めていた。
本書はブルームを中心に出稼ぎや永住した愛媛県出身者に焦点を当てた記録である。三瀬豊三郎(三瓶出身),山本亀太郎(同左),山崎栄治郎(八幡浜出身),北条嗣雄(内海村出身)らブルームで成功した県人たちの営みが垣間見える。
テレビ愛媛がかつて特別取材で調査(1983年)によってブルームに日本人墓碑銘(出身地には西宇和郡が多い)も明らかになっているほか,『愛媛県史 社会経済5 社会』(1988年,[asin:B01LTIBAP0])では「オーストラリアへの移住——真珠貝採取漁業への出稼ぎを中心に——」に一節が割かれていて,愛媛県人のオーストラリアへの移住の一端を知ることができる。同所に収録されている「ヘイ収容所収容者名簿(昭和17年・本県分)」の出身地には南宇和郡西宇和郡がずらりと並んでいた。