1695杉山恒太郎著『世界を変えたブランド広告』

書誌情報:日本経済新聞出版,182頁,本体価格1,800円,2022年12月13日発行

ブランド広告,21世紀のブランド・イノベーション,日本のブランド広告,ソーシャル・ブランドの時代にそれぞれ代表作10作品を紹介し,その意味を解説しており,VWの 'Think small.' (1960年)から,ナイキの 'Dream Crazy' (2018年)までのブランド広告,世界を変えた広告が一覧できる。
広告クリエーターは,アレゴリー(寓話),アナロジー(類比),メタファー(隠喩)を駆使して人を説得している。ボルボの 'Daddy Loves Me' (1992年)には表現技術の粋を,ナイキの 'Frozen Moment' (1995年)にはマイケル・ジョーダンのタレント性を,アップルの '1984' (1984年)とベネトンの 'Priest and Nun' (1991年)には勇気と価値観の転換を感じるという。
小学館の「ピッカピカの一年生」(1978年)は,日本初のビデオCMで,一世を風靡した。井上雄彦の作品『スラムダンク』単行本累計発行部数1億冊を記念して出した新聞全面の感謝広告(2004年)は新聞自体がプレミアムつきの商品となった。
著者の日経新聞でのコラムは楽しく読んだ。本書は,あまたあった広告から選んだ著者の傑作選である。買う前に読むか,読んでから買うか。悩ましい一書だ。いや,図書館で借りる手があった。