1779マシュー・サイド著永盛鷹司訳『勝者の科学ーー一流になる人とチームの法則ーー』

書誌情報:ディスカヴァー・トゥエンティワン,400頁,税込価格2,530円,2024年6月21日発行

ベストセラーになった『才能の科学』[9784309300221]や『失敗の科学』[9784799320235]で知られる著者は,元卓球選手で,コモンウェルスゲームズイングランド代表として3度シングルスで優勝し(1997年,2000年,2001年),4度イングランドチャンピオンになり(1997年,1998年,2000年,2001年),イギリス代表として2度オリンピックに出場したことがある(1992年バルセロナと2000年シドニー)。「オックスフォード大学哲学政治経済学部(PPE)を首席で卒業後,卓球選手として活躍し10年近くイングランド1位の座を守った」(アマゾンの著者紹介より)。どこかの知事のように「先生からよくできた」と言われたような首席ーーいうまでもなく,この表現では「受験した」科目がたまたまよかったのか,同級生のなかで抜きん出てよかったのかは不明であり,成績証明書を見せてもらえれば一発で解決するーーではなさそうだ。
本人のフェイスブックには1992年オリンピックでかのスウェーデンのワルドナー(Jan Ove Waldner)ーーちなみに,現在評者がメインで使っているラケットは,ワルドナーを冠した DONIC の中ペン[現在は廃番]ーーとの対戦シーンがある(→https://www.facebook.com/MatthewSyed/videos/jan-ove-waldner-vs-matthew-syed-summer-olympics-1992/371848290354801/)。また,TEAM GB にはサイドの紹介がある(→https://www.teamgb.com/athlete/matthew-syed/2LVc4c9bE56OnmYd37wkcy)。チョッパーとしてイングランドの一時代を築いた選手である。
本書は,卓球選手として世界で戦った経験を活かし,トレーナー,ゲーム・インテリジェンスやチームワークといったトップになったアスリートの分析や政治テロの標的にもなりうるリスクを背負うアスリートの現実を掘り下げている。