836森貴史・藤代幸一著『ビールを〈読む〉――ドイツの文化史と都市史のはざまで――』

書誌情報:法政大学出版局,267頁,本体価格3,000円,2013年1月10日発行

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ビールは飲んでなんぼだ。読んでいい気分になるわけではないが,毎日飲むビールもどきも味わい深くなる。ドイツビール紹介本でも飲み歩き記でもない,ドイツ地ビールの歴史的解読本である。飲欲と知欲をそそる。
ニュルンベルク,ヘアフォート,アインベック,デトモルトバンベルクブラウンシュヴァイク,ゴスラー,レーゲンスブルク,ナウムブルク,バート・ケストリッツ,ケルン,フライジング,ベルリン,フルト・イム・ヴァルト,ミュンヘンという諸都市と地ビールの現代と過去との往還物語がある。
地ビールのロゴやコースター,酒場やゆかりの建物の写真も多い。白黒なのが惜しい。評者が唯一行ったことがある「アウエルバッハの地下酒場」――『ファウスト』第1部に出てくる――の話題から,ゲーテの好んだビールをケストリッツ産,「大きな膨らみのあるボトル」をフランケンワインの「ボックスボイテル」と推定するなどドイツ文学やドイツ文化史に詳しい著者ならではである。
あまたあるドイツビール本のなかでは深みと味わいのある本に仕上がっている。