887紙屋高雪訳『超訳マルクス――ブラック企業と闘った大先輩の言葉――』

書誌情報:かもがわ出版,111頁,本体価格1,200円,2013年10月25日発行

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「国際労働者協会創立宣言」(1864年),「相続権についての総評議会の報告」(1869年),「アメリカ大統領エーブラハム・リンカーンへ」(1864年),「個々の問題についての暫定中央評議会代議員への指示」(1866年),「『ザ・ワールド』紙通信員とのインタビュー」(1871年)を素材にした紙屋流「超訳」による労働者応援集である。
労働者の組織を作る意味,相続権の廃止の限界,奴隷制度の廃止を支持する意味,労働時間短縮・児童労働・協同組織・労働者組織などの問題,パリ・コミューンをめぐる陰謀説への反論と時代背景を超えてマルクスの現代性を浮かび上がらせる趣向がこらしてある。
紙屋流「超訳」は働くものへの眼差しと悲観的見方を退ける理論的確信があればこその産物である。150年前のマルクス文章が,働くこととひとの繋がりを強く意識させるくだけた現代文になった。