書誌情報:講談社現代新書(2078),260頁,本体価格760円,2010年11月20日発行
電子マネー革命─キャッシュレス社会の現実と希望 (講談社現代新書)
- 作者:伊藤 亜紀
- 発売日: 2010/11/18
- メディア: 新書
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電子マネーやポイントに関する法律の専門家による電子マネー本である。ビットコインの話題が注目される以前に,「現金」「通貨」が電子マネーにとってかわるのではないかと論じていた。
対象としているのは,電子マネーと疑似通貨「ポイント」である。民間企業の信用力をもとに流通しているこれらが,国家独占の通貨発行権への挑戦であり,ドルやユーロや円などを超える通貨になる可能性をみている。
たしかに,本書で指摘している価値保存手段,決済手段,価値尺度はもともと代替可能な機能である。マルクスの貨幣論でいえば,価値尺度と流通手段にあたる。ところが,蓄蔵貨幣,支払手段,世界貨幣としては「貨幣としての貨幣」の役割を果たすことで,人類は経済システムに金との関係をまったく度外視した「世界共通マネー」の発見をいまだ成し遂げていないのだ。
「ゴールド・フィンガー」に出てくる世銀の地下金庫にある金は,いまだもって各国通貨の纏う制服を脱いだ先にある「世界共通マネー」であり続けているのはなぜか。問題は,「私がおカネの価値を信じているのは,みんながその価値を信じているからである」(255ページ。ちなみに,この考え方は岩井克人著『貨幣論』ちくま学芸文庫,1998年,[isbn:9784480084118]の援用だろう)ではないはずだ。
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- 東大社研・玄田有史・宇野重規編『希望学[1] 希望を語る 社会科学への新たな地平へ』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090517/1242564846
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