書誌情報:草思社,174頁,本体価格1,300円,2014年7月25日発行
- 作者:柳川 範之
- 発売日: 2014/07/17
- メディア: 単行本
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前著同様,制度化された学校だけが学びの場ではなく,学ぶこと自体に楽しさがあることを教えてくれる体験的学習論と読んだ。「何かを学ぶということは,人に強制されるものではなく,自分が知りたいことを知り,自分の頭で考えることです。それは,本来,かなり楽しいことのはずです」(4ページ)。多くの読者を得ているのは,せざるをえない「勉強」(かつて内田義彦が言ったように「強いられた学び」という語感がある)が蔓延していることと無関係ではない。
「学び方を学ぶ」(立花隆)や「落下傘学習法」(野口悠紀雄)などとも共通していてたんなるハウツーを披露しているわけではない。本に書いてあることを鵜呑みにするのではなく,学びは加工業であり,熟成させることが大事という著者の主張がはっきり伝わってきた。学校と独学とを対立的にとらえず,学びの意味を考えており,独学がいいともそれを勧めているわけでもない。
「社会で起こっている出来事や自分の目の前に起こっている現象を,自分なりにどう理解して,どのように解決に持っていくのか」(147ページ)に学びの意義をもとめながら,著者自身のブラジルとシンガポールでの見聞がどのように独学の中味に生かされているのかははっきりしない。高校と大学にあたる年代であったからなのだろうか。
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