775高騰する電子ジャーナル

海外の電子ジャーナルが高騰し続け,大学の図書館資料費を圧迫している。「海外学術誌高騰,悩む大学 通常の図書費を圧迫 寡占化・急な円安…」(日経新聞,2015年5月16日付,「文化部 富田律之」の署名記事)は,文科省「2014年度学術情報基盤実態調査」をもとに,「日本の大学の図書関係者を大いに悩ませ」「高騰に次ぐ高騰で大学の図書購入費を圧迫している」ことを報じていた。
その原因として出版社の寡占化が進み価格競争が働かないこと,論文投稿の激増で編輯コストがかさんでいること,急激な円安が進んでいることをあげ,さらに今秋の消費税課税があれば「日本中の大学が痛手を受ける」と指摘している。
大学の対応としてパッケージ購入から論文単位のペイパービュー購入への切り替えが進んでいる実情も報告している。
研究大学であればあるほど電子ジャーナル経費支出額が大きく,大学によって異なるが億単位の経費がかかる。多くのパッケージを購入せざるをえないからだ。
紙と鉛筆(現在ではパソコンか)があれば研究できる分野はなくはない。自然科学はとくに最新研究成果を閲覧しつつ自分の研究成果を公表することを必要としており,電子ジャーナルは不可欠である。
ドイツのシュプリンガー社とイギリスのマクミラン社(「ネイチャー」誌の発行で知られている)が合併し,世界第2位の巨大学術出版社シュプリンガー・ネイチャー社が誕生した。電子ジャーナルの寡占化が進むことによって,ネット世界でのオルタナティブの必要性があらためて浮かび上がってきた。