1556山本明コレクション

戦後の映画や映画サークル運動に関する約1万5千点の資料「山本明コレクション」(京都大学人文科学研究所)の紹介があった(編集委員竹内義治の署名記事,日経2021年6月28日付)。あわせて,所蔵先の京都大学人文科学研究所『人文学報』第116号(2021年3月31日)で〈特集:山本明コレクション〉があることを知った。コレクションの内容,各地の映画サークル協議会,『どっこい生きている』上映運動,独立プロ映画の戦略,『戦艦ポチョムキン』上映史,『武器なき斗い』上映運動,『若者たち』にみるサークル文化運動,『祇園祭』再考などコレクションを用いた映画や映画サークル運動についての資料と研究論文がある(すべてpdfで読むことができる:京都大学学術情報リポジトリ紅→https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/262787)。
山本明は1930年代以来1977年に亡くなるまで40数年間にわたって,プロレタリア文化運動やサークル文化運動などに関わる記録文書,ビラ,チラシなどを蒐集していて,自ら「社会藝能文庫」と名付けていた。
そういえば評者の修業時代の70年代から80年代にかけて,映画サークルに関わっていた後輩から何度かチケットを買った記憶がある。観た映画の記憶も記録もない……。

  • 福家崇洋・上田学「特集にあたって」
  • 高木博志「山本明氏旧蔵コレクション(山本明社会藝能文庫)」について」
  • 立本紘之「戦後初期地方文化運動と政治組織——「全大阪映画サークル協議会」の事例から——」
  • 鷲谷花「山本明コレクション資料にみる『どっこい生きている』(1951)上映促進運動の実態」
  • フィオードロフ・アナスタシア「岸旗江という女優——その売り出し方にみる1950年代「独立プロ映画」のイメージ戦略——」
  • 今井瞳良「映画興行と映倫改組——太陽族映画問題をめぐって——」
  • 小川佐和子「二重の神話化:日本における『戦艦ポチョムキン』上映史」
  • 上田学「山本明コレクションにみる全神戸映画サークル協議会の地域性」
  • 福家崇洋「映画『武器なき斗い』と戦後自主製作・上映運動」
  • 花田史彦「青年の理想主義について——映画『若者たち』とポスト高度成長期のサークル文化運動——」
  • 紙屋牧子「映画『祇園祭』を伊藤大輔の作家性から再考する——「傾向映画」との接続と非連続——」
  • 京樂真帆子伊藤大輔『映画「祇園祭——物語の輪郭——』
  • 森岡洋史「山本明コレクションの映画資料概要と整理方針」
  • 全大阪映画サークル協議会機関紙目録(山本明コレクション映画資料目録より抄録)