1606週刊朝日編『値段史年表 明治・大正・昭和』

書誌情報:朝日新聞社218頁,本体価格1,600円,1988年6月30日発行

「庶民生活史のデータバンク」(「まえがき」)として重宝する一冊で,何度か利用させてもらってきた。200種類を超える物やサービスの値段(ただし東京基準)は世相を映し出している。
評者が学生時代を過ごした1970年代の大学の授業料をみてみると,東京大学3万6千円(昭和47年,全学部同額),慶応義塾大学12万円(昭和48年,文系1年分),早稲田大学12万円(昭和47年,文系1年分),受験料は,東京大学5千円(昭和47年),慶応義塾大学8千円(昭和47年),早稲田大学8千円(昭和47年)だ。
本書出版時の授業料は東京大学30万円(昭和62年,全学部同額),慶応義塾大学41万円(昭和62年,文系1年分),早稲田大学43万円(昭和62年,文系1年分)であり,東京大学すなわち国立大学は8.3倍,慶応は3.4倍,早稲田は3.6倍になり,政府の目論見どおり,国立・私立間の授業料格差は縮まったことがわかる。
文庫や新書版は物価の優等生だ。岩波文庫の星ひとつの定価は,創刊時の昭和2年20銭,これ以降変動なしで昭和18年20銭,昭和19年,戦時の材料不足とインフレ激化の中で,個別定価になり,昭和25年30円,昭和26年40円,昭和37年50円,昭和48年70円,昭和50年100円,昭和54年10月から,黒の小星<50円>も活用するようになり,昭和56年100円,昭和62年100円,である。