1355交換様式論

柄谷行人著『力と交換様式』(岩波書店,2022年10月,[isbn:9784000615594])は読み切るにいたっていないが,「池上彰のそこからですか? 新春スペシャル対談 世界は「交換」でわかる」(『週刊文春』2023.1.5・12)を読んだ。

柄谷著がアメリカのシンクタンク「バーグルエン研究所」の「バーグルエン哲学・文化賞」受賞したこと,授賞理由が「現代哲学,哲学史,政治思想に対するきわめて独創的な貢献」「混迷するグローバル資本主義国家の危機,めったに自己批判が伴うことのないナショナリズムの復活といういまの時代において,その作品は特に重要である」ことを知った。

「僕は,『資本論』の要は交換による力だ,と考えました。感覚的・物理的な力ではなく,観念的・宗教的な力であって,どの交換から来るかによって形が違ってきます。それは人間の願望や意志による創造物ではなく,逆に人間を強いる力を持ちます。それは「物神」というほかないような力です」(68ページ)。

交換様式の4種類【A互酬(贈与と返礼),B服従と保護(略取と再分配),C商品交換(貨幣と商品),D(Aの高時限での回復】のうち,Cが発展した近代社会ではA・B・Cの結合体が形成され,資本=ネーション=国家という形をとることを前著『世界史の構造』(2010年,岩波現代文庫版2015年,[isbn:9784006003234]」で解明し,本書が交換様式Dの探求——個人の独立性と平等が担保された未来社会の原理だがまだ実現していない——と位置づけている。

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