書誌情報:愛媛新聞サービスセンター,414頁,本体価格2,800円,2022年2月15日発行
いま松山大学の建物に「創立100周年」の垂れ幕がかかっている。本年2023年に学園創立100周年を迎えるからだ。松山大学の前身は松山高等商業学校であり,大正デモクラシー期にあたる。その後,戦時下の1944年松山経済専門学校,1949年松山商科大学を経て1989年4月松山大学となる。
著者は,松山高商・経専時代(1923年4月〜1949年3月)については,すでに『松山高商・経専の歴史と三人の校長——加藤彰廉・渡部善次郎・田中忠夫——』(愛媛新聞サービスセンター,2017年,[isbn:9784860871314])と『伊藤秀夫と松山商科大学の誕生——あるリベラリストの生涯——』(SPC出版,2018年,[isbn:9784899832515])の2著を発表してきた。本書は,松山商科大学時代の40年の歴史を扱っている。
松山商科大学時代は,商経学部1学部時代(1949年4月〜1962年3月),経済・経営2学部時代(1962年4月〜1974年3月),経済・経営・人文3学部時代(1974年4月〜1988年3月),経済・経営・人文・法4学部時代(1988年4月〜1989年3月)と単科大学から人文・社会科学の総合大学へと発展する時期にあたる。歴代の学長の時代ごとに大学としての教育・研究体制の整備や学生のゼミ活動,入学・卒業状況について諸資(史)料を再現し,大学史を構成している。
1972年に設置が叶った大学院経済学研究科経済学専攻(修士課程)については,当時専門審査委員の小林昇に自宅で面会し,「霧が晴れて目的地への最短距離の良道を見出した」と当時理事で設置委員会委員長の稲生晴の記録を引用している(188ページ)。
大学(校)史編纂室の常設や学内報と学生新聞の復活を要望しているのは,長らく松山商科大学および松山大学で教鞭を執った著者ゆえである。
愛媛県生涯学習センターは「令和4年度愛媛人物博物館冬季企画展」として「加藤彰廉——実業教育に生涯を捧げた松山高商初代校長——」(2022年12月3日〜2023年3月12日,愛媛県生涯学習センター→https://www.i-manabi.jp/topics/?p=27989)を開いている。
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