書誌情報:朝日新書(431),230頁,本体価格760円,2013年11月30日発行

- 作者:今野晴貴
- 発売日: 2013/11/13
- メディア: 新書
- -
ブラック企業を顧客にしたブラック士業(ブラック弁護士,ブラック社労士)による悪徳ビジネスはこれほどなのかと驚く。「彼らの業務はあくまでも「ビジネス」であって,法制度の趣旨や,社会正義は関係ない。そして依頼者たる「経営者の論理」さえも乗り越えていく」(138ページ)。ことに弁護士業については司法制度改革によってもたらされた就職難と貧困化がその背景にあることを指摘している。
これらブラック士業だけでなく,就職率を上げるためにブラック企業に卒業生を送り出す学校,ブラック企業であってもブラック度を認識出来ない親,医療・福祉現場に蔓延るブラック汚染は,「若者の使い潰しを可能にする労務管理の仕組みや,社会システム・制度の問題」(197ページ,原文は強調点)として取り組む課題であることを教えている。
「ブラック企業」を支えているブラック士業とブラックビジネスに取り込まれた現状には「「ビジネス」の論理ではない専門家や業界の組織づくり」(218ページ)でしか対抗できない。ビジネス vs 非ビジネス。ブラック企業,ブラックビジネスから見えてきた本丸といえるだろう。
- 関連エントリー
- 紙屋高雪訳『超訳マルクス――ブラック企業と闘った大先輩の言葉――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20131126/1385474044
- 生熊茂実・鹿田勝一著『ブラック企業と就活・働く権利――青年に希望を 悪質企業を見分ける確かな眼――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20130207/1360247401
- 「ブラック企業」が日本の若者を使いつぶす→https://akamac.hatenablog.com/entry/20121225/1356443784
- 今野晴貴著『ブラック企業――日本を食いつぶす妖怪――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20121210/1355148670
- 就職難とブラック企業 − 〈まともな働き方〉を考える→https://akamac.hatenablog.com/entry/20111210/1323525477
- 森岡孝二編『就活とブラック企業――現代の若者の働きかた事情――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20110422/1303482294
- 1年前のエントリー
- 2年前のエントリー
- 3年前のエントリー
- 大学犬はなちゃんの日常(その207)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20101206/1291643674
- 4年前のエントリー
- 5年前のエントリー
- コルナイ教授講演会とマルクス・シンポ(四報)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20081206/1228575942
- 6年前のエントリー
- 平田清明著作目録ブログ版(1954)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20071206/1196906658