953今野晴貴・板倉昇平著『ブラック企業 VS モンスター消費者』

書誌情報:ポプラ新書(021),189頁,本体価格780円,2014年2月5日発行

  • -

著者のふたりは若者の労働・生活相談に携わり,それぞれNPO法人POSSE代表と理事をつとめている。ブラック企業問題を消費者主権論に踏み込んだ視点が新しい。「24時間のコンビニ営業に対応するために,オーナー,店員以外も長時間深夜労働に巻き込まれていく。そして,そうした仕事をする人が,さらに24時間営業の店を利用する。このループに楔を打ち込むことはできないのだろうか」(115ページ)。消費者の便利さと引き替えにブラック企業を温存させているのではないかとの重い問いかけがある。
労働条件を消費者の立場から考えるきっかけになったのは,AKB48のファンがモンスター消費者になった事例だったという。「替えのきかないサービスを提供する労働者に,その人ならではのサービスを継続的に期待するからこそ,ファンとしての消費者が経営側に労働条件の改善を求めるという,興味深い事例」(184ページ)を紹介していた。消費者がブラック企業化を進めるとともに,労働時間規制やジョブディスクリプション(労使間で職務の内容を決め,職務の内容を明確にすること)の必要性を主張することにもつながっている。
ブラック企業問題を含む労働問題が消費者の目の前に起こっており,すべての人の足元にあることを教えている。