準決勝の相手,馬龍(MA Long,WR3)はさすがに強かった。チキータのレシーブは狙われ,突っつけば強打される。常に攻める馬に主導権を握られ,0-4 (9-11, 4-11, 6-11, 7-11) と敗退した。
3位決定戦のドイツのボル(BOLL Timo, WR7)とは15戦で1回しか勝っていない強敵。第1ゲームは9連続ポイント,第4ゲームも5連続,3連続ポイントでゲームを取ったが,競った第6ゲームを落として2-4 (11-2, 7-11, 8-11, 11-6, 2-11, 9-11) と惜敗し,2勝目はならなかった。攻めを意識した水谷は凄みがあった。徹しきれなかった。
決勝は,馬龍と張継科(ZHANG Jike,WR4)の中国選手対決となった。馬は1ゲームも落とさず,張は準々決勝,準決勝と競って勝ち上がってきた。どちらも強力なフォア,バックで各ゲームを支配する。ラリー戦にはならず数回の強打の応酬でポイントを取り合う。ITTFの国際大会では馬が7勝3敗と分が良かったが,第3ゲームと第7ゲームの競り合いを制した張に勝利の女神が微笑んだ。馬3 (11-8, 4-11, 11-13, 11-7, 11-2, 5-11, 10-12) 4張。
勝った後の張のパフォーマンスはいただけない。フェンスを蹴り上げ,馬と握手。今度は逆のフェンスを蹴り上げ,ユニホームを客席に放り込んだ。蹴り上げたかったのは負けた馬のほうだったろう。この行為で優勝賞金4万5千ドルは没収となった。世界選手権優勝時のユニホーム破りさらには客席に駆け上がってのパフォーマンスといい,ロンドンオリンピック優勝時の表彰台へのキスといい,その前にしなければならないことがあるはずだ。相手への握手だ。背中と腕の入れ墨といい,評者の好きな選手ではない。
優勝賞金没収はそれなりのペナルティとはいえ,スポーツマンシップとして張の行為は褒められものではない。「どんなにうれしくても,悔しくても,相手と審判員に敬意を払うのがスポーツマンです」(日本卓球協会の啓発冊子の一文)。張にこの冊子を中国語にして読んでもらおう。
- itTV→http://www.ittf.com/ittv/
- 日本卓球協会の結果→http://www.jtta.or.jp/result/2014/worldcup/2014mwc.html
- 卓球王国WEB→http://world-tt.com/ps_info/ps_report.php?bn=1&pg=HEAD&page=TOP&rpcdno=1617#1617
- 1年前のエントリー
- 男子シングルス決勝は許昕対サムソノフ(卓球男子ワールドカップベルギー大会)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20131027/1382879920
- 2年前のエントリー
- 平成23年度「大学等における産学連携等実施状況について」→https://akamac.hatenablog.com/entry/20121027/1351348699
- 3年前のエントリー
- 経済学史学会の開催地をめぐって→https://akamac.hatenablog.com/entry/20111027/1319725411
- 4年前のエントリー
- 読売新聞教育取材班『大学の実力2011』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20101027/1288189292
- 5年前のエントリー
- 日労研編集部編『子どもの教育費これだけかかります。』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20091027/1256652556
- 6年前のエントリー
- 羽入辰郎著『学問とは何か――「マックス・ヴェーバーの犯罪」その後――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20081027/1225118295
- 7年前のエントリー
- おさぼり