1835山口亮子著『ウンコノミクス』

書誌情報:インターナショナル新書(156),296頁,本体価格950円,2025年4月12日発行

かつて糞尿は農業用肥料として使われていた。あのぼっとん便所は金肥の源だった時代があり,「田舎の香水」は今や昔である。廃棄物に化し,焼却と埋め立てに使われるウンコを大量に含む下水汚泥の肥料としての再利用の可能性を展開した本書は世界的な肥料不足懸念を払拭させるかもしれない。
大阪・関西万博海上夢洲(ゆめしま)は「夢,咲き,舞う」の期待を込めて咲洲(さきしま),舞洲(まいしま)とともに命名され人工島であり,「ゴミの島」・「ウンコの島」である。大阪市民が排出したゴミと下水汚泥の焼却灰が元になっているからである。沈没とメタンガスの爆発の可能性とともに,下水汚泥の徹底した廃棄の代表例として挙げることができる。埋め立てればいいから下水汚泥の肥料化へ。華やかな万博を見る別の視点を教えられた。
下水汚泥や家畜糞尿由来のバイオメタンガス利用など新しい経済循環,経済の活性化は「ウンコノミクス」の造語こそふさわしい。「うんこドリル」が評判になったように,この言葉も普及する「臭い」がする。