1139椎名誠著『奇食珍食 糞便録』

書誌情報:集英社新書(0798N),254頁,本体価格760円,2015年8月17日発行

奇食珍食 糞便録 (集英社新書)

奇食珍食 糞便録 (集英社新書)

  • 作者:椎名 誠
  • 発売日: 2015/08/12
  • メディア: 新書

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口から食べるものを入れ,あそこから排泄物を出す。人間が生きるうえで両方とも欠かすことができない。前者は健康やグルメとして関心を呼ぶが,後者はとかく臭いものに蓋をすることになりがちである。
世界の辺境を旅した著者は排泄物の処理の仕方をここぞとばかりに語っていた。中国のニーハオトイレはトイレがあるだけましである(毛沢東が個人所有トイレは贅沢だとして個人宅のトイレを禁止したというのはホント?)。蘊蓄をうんと込めてはいないが,タイトルを見たら阿吽の呼吸でわかるだろう。
東日本大震災の避難所で困ったのは糞便の処理だった。かつて松山で渇水の時,一番困ったのもウン○だった。大学時代までどっぽん便所に世話になりながら温水洗浄トイレでないと便が出なくなるほど退化してしまった自分がなげかわしいほど世界の糞便事情はすさまじい。
奇食珍食も見ての通りでこんなものまで食う話で,本書ではほんのつまみである。奇食珍食で本書を手に取った人はグルメ志向がある。糞便録に引かれたとしたら,あなたは間違いなくスカトロジストではなく,トイレの大事さをよく知った御方である。