書誌情報:桜井書店,305頁,本体価格3,200円,2015年4月1日発行
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「経済学とはなんだろうか?」。経済学にはマクロとミクロ,それに統計学があればいい。大学教育における経済学の質保証をめぐる論点はこの理解を肯定するのか否かであるように思う。経済学を学ぶ入口はなんであってもいいはずで,考える素材と機会をもうけるのが大学における経済学の意味だとかねてから考えてきた。日本学術会議〈参照基準〉は理論史や歴史などからの多様なアプローチを質保証の障害とみなしているように評者は受けとめた。
本書の編集者は,〈参照基準〉の原案への修正運動にかかわった。それをうけて10名余の執筆者が〈参照基準〉を超えて経済学とその教育の可能性を論じたのが本書である。論点の抽出や〈参照基準〉への位置は執筆者によって差があり,そのことがかえって経済教育の多様性を裏付けている。それゆえ,執筆者の一人である塩沢由典がまとめているように,(1)異端の経済学を含む経済学全体の見取り図を手に入れる,(2)多様な経済事象や思想に触れる,(3)複眼的な思考法を獲得する,(4)複数の理論体系を学ぶ,に同意できる(123ページ,評者による単純化)。
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