書誌情報:PHP研究所,222頁,本体価格1,400円,2015年6月17日発行

- 作者:川口マーン惠美
- 発売日: 2015/06/03
- メディア: 単行本
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以前よりも日本びいきのトーンを落とし,タイトルにある日本の初等教育水準の高さをベタ褒めはするが,秀逸な日独教育比較論になっている。歴史(寺子屋が日本人の知力を育んだ),学校(なぜ日本人は分数,少数の計算ができるのか),制度(落ちこぼれを作らない日本の教育),大学(入試のないドイツ),就職(一斉就職のないドイツ),仕事(加重労働の日本人,加重休暇のドイツ人),革命(反権威主義で揺れたドイツ),食文化(昼も夜も,皆で食卓を囲む日本),言語(世界で闘う武器を手に入れよう)に,著者の娘3人の子育て経験を重ねていた。
日独における教育の制度設計の違いが若者の職業観や人生観に大きく関係している。ギムナジウム,事業学校,基幹学校の違いと現状からわかる「自分がすでに何を学び,何ができるか」が一番の特徴だろう。インターンシップやソーシャルワークの位置づけは日本とはまるで違う。
日独を比較した一長一短論をみると,予想していたように5勝5敗の五分にはなったようだ。
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