「銀ブラ」には,銀座の街をブラブラ歩くことと銀座パウリスタでブラジルコーヒーを飲むことのふたつの意味があり,現在では前者が一般的らしい(「日本語俗語辞典」の「銀ブラ」→http://zokugo-dict.com/07ki/ginbura.htm)。ところで,現在も銀座にあるパウリスタを経営する日東コーヒー前社長の長谷川泰三の文(「伝説の喫茶店歴史探る――多くの文人が集ったパウリスタを調査――」,日経新聞2009年3月17日付)によると,「銀ブラ」のブラはブラジルコーヒーかもしれないとして小島政二郎『甘肌』(評者未見)での描写を挙げている。
「銀ブラ」という言葉を造ったのは成毛五十六という慶応義塾大学文科の学生詩人であるとしたうえで,小島は以下のようにつづける。「その頃時事新報社があり,その前に宇野浩二が何かと云うと書くカッフエ・パウリスタと云う,5銭でブラジルコーヒーを飲ます木造二階建て洋館があった。三田からここまで歩いてきて,コーヒー一杯飲む,それが銀ブラの何よりの楽しみだった」。
長谷川の新刊『日本で最初の喫茶店――「ブラジル移民の父」がはじめた カフエーパウリスタ物語――』(文園社,2008年11月,[isbn:9784893369475])でも披露されているエピソードとのことだ。
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