219丸善ライブラリーニュース復刊第6号

2009年6月10日発行の最新号(通号158号)。特集「人文知の復興」には,大学図書館,書物,流通,出版,編集,大学出版部の問題の整理と提起がある。それぞれが2ページでまとめてあり,すぐに読める。人文知-書物-図書館というデジタル時代であるがゆえのテーマに迫っている。
植村はグーグルが図書館の蔵書書籍を検索対象にしていることに,紙の出版への憧憬・信頼を示すものだと指摘し,紙とデジタルの配分を変えるだけでは大学出版部の未来を開くものではないと結ぶ。
神戸学院大学図書館は2007年から丸善に業務委託(丸投げではない)をしている。利用サービス向上と経費削減では成功したとある。大学として図書館業務の委託を考える話題となっている。迂闊にも,大学図書館の業務委託という事実を初めて知った。
ブックデザイナー山元のコラムでは,本のカバーや帯を外して捨てている図書館への改善を書いている。カバーはたんなるダスト・ジャケット(埃よけ)ではなくひとつの意匠というのは傾聴に値する意見だ。

執筆者 タイトル
宮田亮平(東京藝術大学学長) ときめきから
長谷川一(明治学院大学 人文知と「不自由」な書物
小西和信(武蔵野大学 人文・社会科学の学術情報流通(上)
さんどゆみこ(くろしお出版 業界出版社の挑戦――人文知の棲み分けを超えて――
平野雅彦(静岡大学 編集の力
植村八潮(東京電機大学出版局) 大学出版部はオールドファッションか
岡田悦夫(神戸学院大学 委託スタッフは,スーパーウーマンか?――海の上のポーアイ図書館で想う――
山元伸子(ブックデザイナー)(ブログ→http://hiroiyomu.exblog.jp/ 本を見にいく場所