昨日のエントリーのように,
- 講師:高橋利郎(大東文化大学文学部書道学科准教授)
- 「米山と幕末明治の書」
を聴く。シニアを中心に150名ほどの聴講があった。愛媛マラソンで交通規制があるなかで熱心なファンが来場してくれたようだ。
美術史における書の位置づけが低いことから説きおこし,明治以降で重要文化財指定の書がないこと,近現代書道史の評価軸が定まらず,ましてや地方書家米山の魅力の認知は途上にあるという。
そのうえで,幕末明治の江戸・東京と京都の書家・文人との対比(中根半嶺,市河万庵,中林梧竹,巌谷一六,日下部鳴く鶴,西川春洞,小野鶯堂/山中信天翁,谷如意,神山鳳陽,江馬天江)から,また,書道史(宮廷と和様,禅僧の墨跡,中華文化と唐様)の流れから,米山の書を「破格の表現」と特徴づけていた。都市文化に染まらなかった良寛,慈運,仙崖らの延長線に米山を見ようというのだ。
米山を最初に発掘したのは,大阪の実業家,山本發次郎(1887-1951)。彼が収集したコレクションに米山の書が多く含まれている。山本コレクションは大阪市に寄贈され,現在は大阪市立美術館建設準備室蔵になっている(→http://www.city.osaka.lg.jp/yutoritomidori/page/0000020931.html)。
年に数回お披露目する貴重な「六曲一双屏風」(愛媛大学蔵)を背景にした講演は聴きごたえがあった。
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