1523シモーヌ・ヴェイユ著冨原眞弓訳『重力と恩寵』

書誌情報:岩波文庫(青690-4),452頁,本体価格1,130円,2017年3月16日発行

重力と恩寵 (岩波文庫)

重力と恩寵 (岩波文庫)

生前はまったく無名だったが,34歳で亡くなった彼女の死後,友人ティボンが十数冊のノートを編集して出版した。他の「著作」も多数出版・翻訳されており,『重力と恩寵』もちくま学芸文庫[isbn:9784480082428]などがある。

本書を紹介するのは,鷲田清一「折々のことば」(2066)の一節からこう書いていたからだ(1月28日)。

もの(傍点あり:引用者注)と直接向かいあうことは,精神を自由にする。シモーヌ・ヴェイユ

自分の活動とその結果のあいだに,自分のあずかり知らぬ意志が介在すること。それが奴隷状態である。この隷従の構造が抗(あらが)いえないものになると,人は強制された事態を自発的に選んだ事態とみなし,隷従を献身にすり替えると,フランスの思想家は言う。ものとじかに向き合うその一歩は,よほど周到な注意と準備が踏みだせない。『重力と恩寵』(田辺保訳)から(ちくま学芸文庫版のこと:引用者注)。

ものとの間接的な関係が精神を不自由にするがゆえに,直接的な関係の意義を問うヴェイユの思想は,マルクスの物神性論(物象化論とも)に通じる。

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