1532松島憲一著『とうがらしの世界』

書誌情報:講談社選書メチエ(728),245頁,本体価格1,700円,2020年7月20日発行

とうがらしの世界 (講談社選書メチエ)

とうがらしの世界 (講談社選書メチエ)

辛くないとうがらしもあるが,なぜとうがらしは辛いのか。鳥に選択的に食べられるようになるためという説やカビにたいする防御能力をたかめるためという説があるそうだ。いずれにしろ中南米原産のとうがらしがコロンブスがサン・サルバドル島に1492年に上陸して以来,ある哺乳類の一種がその辛味を好むようになり,全世界に広がった。

日本には天文年間南蛮人経由説,朝鮮半島経由説,慶長の南蛮人説があり,おおむね安土桃山時代,遅くても江戸時代初期には伝来していたという。著者は,ポルトガル人が日本に伝え,東アジア各地域に伝播していったのではないかと言う。江戸時代には80品種を数え,平賀源内『蕃椒譜(ばんしょうふ)』には61品種の図示がある。今の新宿(内藤新宿)はとうがらしの名産地だったというから驚き桃の木山椒の木だ。

日本の三大七味唐辛子は薬味が異なる。やけん堀中島商店は日本最初の唐辛子の味を今に伝えている。「山椒が不作なら暖簾はかけぬ」の七味屋本舗製には山椒が多く配合されており色が少し暗い。八幡屋磯五郎製には生姜が入っている。

-江戸・やけん堀中島商店(唐辛子,麻の実,陳皮,焼唐辛子,かしの実,粉山椒,黒胡麻
-京都・七味屋本舗(唐辛子,山椒,麻の実,紫蘇,青海苔,白胡麻,黒胡麻
-信州・八幡屋磯五郎(唐辛子,山椒,麻の実,紫蘇,陳皮,生姜,黒胡麻

本書の植物としてのとうがらしの辛味などの分析や世界一周とうがらし(料理)紀行を読むだけで体が暖まる。

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