1777川村一之著『七三一部隊 1931-1940ーー「細菌戦」への道程ーー』

書誌情報:不二出版,244頁,本体価格3,600円,2022年12月27日発行

新宿区の陸軍軍医学校跡地で多くの人骨が見つかったことがある(1989年7月22日)。著者はその真相解明に取り組む過程で,陸軍軍医学校関東軍防疫部(防疫給水部本部・七三一部隊)との関係を知り,部隊長・石井四郎の「研究」足跡を追った。
これまであまり知られていない加藤秀造の小説「黒死病」(『文芸東北』1960年12月号)の背景調査と岩崎明日香「宮本百合子『道標』の軍医津山のモデルと戦争犯罪」(『民主文学』2020年2月号)に触発された七三一部隊長石井四郎とプロレタリア文学作家宮本百合子との邂逅は,評者所見のエピソードだった。
ちなみに,かの人骨は「国が処分した人体標本に由来すると推測され」,「死体又は標本が満州宇野第731部隊など海外から送られたことを示唆する回答」などもあったという(2001年6月14日公表の報告書)。