書誌情報:学芸出版社,221頁,本体価格2,300円,2016年2月15日発行
- 作者:『内子座』編集委員会
- 発売日: 2016/02/12
- メディア: 単行本
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今でこそ内子座は内子の顔になっているが駐車場にするために壊す話もあった。町民有志によって芝居小屋として作られた内子座が建築物としての価値が再評価され,街並み保存の中核として位置づけられ,ふたたび町の劇場として復興した。
本書は内子座の歴史を紐解くことによって浮き沈みがあった一地方の公共劇場を通して日本劇場史に新しいページを付け加えており,本格的な内子座論である。また,内子座は内子町の最重要観光資源であり,内子座に関する唯一の本『芝居小屋 内子座 八〇の年輪』(内子町,1995年)にはなかった地域振興・産業振興との関わりについての問題意識を強く打ち出している。
岡田文淑の言葉が重い。「私がまちづくりにのめり込んだ1970年代には,県内の大学にはほとんど情報がなく,まちづくりへの課題が見えた時にはよく東京通いをしました。建築,経済,コミュニティなど,いろんな領域の著名な先生方と東京で出会えたことが,町並み保存や内子座再生の大きな背景になったと思います」(148ページ)。編集委員たちが可視化した「行政と町民がともに協働しながらまちづくりを力強く推し進めていく姿勢の枯渇」(221ページ)も100年の内子座があればこそだ。
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