1307西川武臣著『ペリー来航――日本・琉球をゆるがした412日間――』

書誌情報:中公新書(2380),176頁,本体価格760円,2016年6月25日発行

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歴史的事件としてのペリー来航はよく知られている。本書は,黒船絵巻や瓦版,日記などから庶民が受けとめたペリー来航を描いている。アダムスが上陸した場所は横浜開港資料館が建っている場所であることやウィリアムズが横浜村に葬られた最初の外国人になったこと,汽車の走行デモンストレーションがあったこと,浦賀奉行所与力の田中光義の写真などが現存する日本最古の写真であることなど歴史の傍流のエピソードがたっぷり添えられている。
ペリー艦隊が琉球王国に来航してから琉米修好条約を結ぶまでの412日間の間には,東アジア海域で軍事行動を展開し,日本には2回,琉球には5回も来航した。日米和親条約(日本側の原本は関東大震災で焼失し,アメリカ側の原本がアメリカ国立文書館にある)が結ばれたのはこの間の一齣だった。