1308橋本健二著『新・日本の階級社会』

書誌情報:講談社現代新書(2461),305頁,本体価格900円,2018年1月20日発行

新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

新・日本の階級社会 (講談社現代新書)

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旧中間階級,資本主義セクターの3階級(資本家階級-新中間階級-労働者階級)の4階級から,労働者階級の内部に非正規労働者アンダークラスという新しい階級を含む5階級構造へと転換した。資本家階級から(正規)労働者までが対立と格差を保ちながらアンダークラスの上に聳え立つ「4対1の階級構造」。著者の階級把握は社会調査データ分析にもとづいており,アンダークラスの析出に特徴がある。
これら階級が格差意識や自己責任論,政治意識と単純に結びつかずねじれた関係にあることを論じ,格差縮小への具体的見取り図を描く。アンダークラス,パート主婦,専業主婦,旧中間階級,さらには新中間階級と正規労働者のなかのリベラル派が結びつけば一大政治勢力になる。
21世紀の新・階級論は排外主義と軍備拡張を強める一強体制に対抗できる弱者+リベラル派に期待していた。