書誌情報:日本経済評論社,xxii+338頁,本体価格3,200円,2007年12月25日発行
経済思想〈11〉非西欧圏の経済学―土着・伝統的経済思想とその変容
- 発売日: 2008/01/01
- メディア: 単行本
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シリーズ「経済思想」全11巻の最終刊。この巻のみ買いそびれていた。
八木のイリイチ「ヴァナキュラリゼーションの価値」を援用し「生活に根ざした「コンヴィヴィアリティ」を有した世界」から,想像の地域共同体とコンヴィヴィアリティを縦軸に,伝統の活性化と普遍思想の土着化を横軸に配した経済思想の受容の構図は今までにない捉え方である。そのうえで日本において非西欧世界の経済思想への関心が希薄であった理由を,資本主義の理論もそれに対抗する理論も西欧起源であったこと,戦前・戦中に国策で東洋研究がおこなわれたことへの反動にもとめている。序文とはいえ,骨太の非西欧圏の経済学論を展開している。
西欧経済思想普及前の中国,インド,イスラムの経済思想,江戸期の日本の経済思想,西洋経済学導入前後の中国の経済思想,イスラムの経済思想,マハートマ・ガンディーの経済思想と非西欧近代型の伝統的・土着的経済思想がまとめて論じられている。韓国・朝鮮の経済思想が抜けているのが残念とはいえ(予定執筆者の病気で収録が叶わなかった),西洋経済思想が翻訳や紹介を通じてたやすく受容されたわけではなく,西洋と東洋との接触による多面的な展開があったことを暗示している。
目下評者が関心を持っているテーマに関わって,山本裕美稿「中国の近代化と経済思想――経済学における西学東漸――」(第5章)は,中国におけるマルクス経済学,近代経済学,社会主義市場経済理論の導入過程を網羅的に扱っており,文献ともども参考になった。
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