書誌情報:中公新書ラクレ(429),274頁,本体価格840円,2012年9月10日発行
グローバル化時代の大学論1 - アメリカの大学・ニッポンの大学 - TA、シラバス、授業評価 (中公新書ラクレ)
- 作者:苅谷 剛彦
- 発売日: 2012/09/06
- メディア: 新書
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同名の初版(玉川大学出版部,1992年)の復刻版になる。『IDE 現代の高等教育』掲載稿を中心に編んだ初版から「レジャーランドのダブルスクール族――文科系東大生の最近の動向――」を削り,新稿「アメリカの大学からみた日本の大学教育」と「漂流する日本の大学教育」(2011年)が加えられている。
TA,シラバス,授業評価は,初版刊行後日本の大学において急激に――「日本では十分な議論もされないまま」(宮田由起夫「解説」273ページ)――導入が進んだ。もともとこれらのアメリカでの導入は「入学までに学生たちが身につける学力のレベルは(1990年代初頭の時点では)平均的に見れば日本のほうが高く,大学ごとに見た学力の散らばりは,日本のほうが小さかった」(212ページ)という事情にあった。日本とアメリカの大学との間には異なった教育のコンテクストがあったのだ。
アメリカに似せて導入したTA,シラバス,授業評価が,入試制度の多様化や産業界からの要望に対応した日本的事情からあらためて見直されるようになったと理解できるだろう。大学を論じる時アメリカ出羽守があまりにも多い。教育事情が異なれば対応する制度も異なっていい。20年前の日米大学教育比較論はいまだからこそ読まれていい。
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