書誌情報:岩波新書(1254),x+212+4頁,本体価格840円,2017年6月29日発行
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中国近現代史200年を,党・国家・政府の政治・経済過程の関与よる「国家・市場・社会の重層的な相互依存の関係性」にみ,また,「官僚資本主義」型から「国家資本主義」型を経て党・国家主導型の混合経済体制と性格づけていた。中国における個別の歴史的事件を追うことで歴史を叙述するのではなく,世界的な緊張関係のなかに位置づけて輪切りにしてみえてくる重層性を前面に出した中国近現代史論である。
ひとつの特徴は200年中国をグローバルな中枢=周辺配置で描いていることだ。中枢から半中枢へ,半周辺から周辺へ,そして周辺から脱却して逆の配置を志向するという捉え方でウォーラスティンを下敷きにしている。また,国民国家の形成過程を5段階に分け,中国政治の「やまない縦走」を立論していた。
ふたつ目の特徴は「伝統層」と「現代層」,上層・中間層・下層,資本主義の三層構造,政治的重層性(基層=中華世界層,中層=資本主義ネイション・ステイト層,表層=社会主義ネイション・ステイト層)のように一元的でない利害・対立を「層」として理解していること。
「21世紀段階の国際公共財蓄積への構想力」(206ページ)と日中関係の将来を展望する著者の力業は類書にない中国論になっていた。
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