1615京都学研究会編『京都を学ぶ——文化資源を発掘する——』【洛東編】

書誌情報:ナカニシヤ出版,235頁,本体価格2,200円,2021年3月31日発行

京都学研究会の5冊目の出版である。洛中と洛東を結ぶ橋にかんして2本とコラム1本,東山の山荘と寺院にかんして3本,山科の寺院にかんして2本とコラム1本,東山の近代について3本とこらむ2本と,それぞれがモノグラフィーとして独立した論文集である。
時代も平安時代から中・近世,中世,近世・近代,近代とまたがった文化資源論である。「洛東の文化資源のごくわずかな例」(「あとがき」)とはいえ,そこにあまたの京都案内・紹介本との違いがある。
豊臣秀吉の「醍醐の花見」として有名な醍醐寺は,桜会(さくらえ)と呼ばれる醍醐寺の仏教儀礼と繋がっていた。現在も毎年恒例の「清瀧権現桜会(せいりゅうごんげんさくらえ)」の名で執り行われている。
余談ながら,1952年から2019年まで内閣総理大臣主催の公的行事であった「桜を見る会」は「汚瀧政治桜会」として歴史に刻まれることになった。