1616京都学研究会編『京都を学ぶ——文化資源を発掘する——』【伏見編】

書誌情報:ナカニシヤ出版,179頁,本体価格2,200円,2022年3月24日発行

京都学研究会の6冊目の出版である。
秀吉時代の「首都」伏見城とその城下の様相を考察した1本とコラム2本,伏見の舟運と宿場町を2本,弥生時代深草遺跡と15世紀の伏見を2本とコラム2本,伏見義民,酒蔵,巨椋池を3本とコラム1本で伏見の文化資源を探っていた。
丹波橋駅あるいは城南宮南ICの手前あたりで,左手山上に伏見桃山天守閣を見ることができる。もちろんこれは秀吉が建てた伏見城ではなく,近鉄が開発した「伏見桃山城キャッスルランド」の置き土産である。また,かつて船宿だった寺田屋は龍馬が伏見奉行所の役人に襲われた寺田屋事件としてあまりにも有名だ。鳥羽伏見の戦いで焼失し,龍馬と親交が深かった女将(お登勢)の息子夫婦が再建したもので,1906年に営業再開した。そんな事情も知らず柱に残る刀キズを龍馬が襲われた時のものと信じてゼミの合宿に臨んだ馬鹿な評者がいた。