1764丸山俊明著『京都の歴史と消防ーー千年都の都市防火性能ーー』

書誌情報:大龍堂書店,362頁,本体価格2,000円,2022年11月24日発行

木造建築が主だった平安京の頃から幕末までの京都の消防制度を10章100項目で解説している。地域住民による防火・消防の仕組みが多くの図版や地図などで知ることができる。放火も失火も風上5軒風下5軒は家財持ち出し,残りは桶に水を汲んで火事場へ急行などの町の決まりごとや火事場では所司代町奉行所体制の指揮権があったことなどにも触れられている。
かつて墓場では多い場合30〜50本の蝋燭を燃やした。これをカラスが取っていき出火原因になることもあったという。「カラスこそ 墓所の蝋燭 取り行きて 藁屋の軒に 火をだすなれ」(『愛宕土産』より,168ページ)。
京都千年の歴史は,建築物,町割り,体制まで防火・消防対策の歴史でもあった。