1093小長谷正明著『医学探偵の歴史事件簿――ファイル2――』

書誌情報:岩波新書(1529),x+220+6頁,本体価格780円,2015年1月20日発行

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神経内科,歴史の転機をなした病気,感染症や化学物質による悲劇,歴史上の著名人の病気と前著に続いて資料に基づいた探索だった。
湾岸戦争症候群東ドイツホーネッカー議長の胆石とベルリンの壁崩壊との因果,重金属汚染,スモン病,ラストエンプレスのアヘン中毒,ダーウィンミトコンドリア病(ただし仮説)など探偵ぶりは古今東西に通じていた。
なかでも古代日本の疫病,ペストをめぐる百万遍・モンゴル・ナポレオンのエピソード,エイズ,クールーと狂牛病などの感染症は,新型インフルエボラ出血熱,最近のMERSコロナウィルスによる流行をみるにつけけっして過去のものとしては片付けられない。
気軽に読みつつ歴史の深奥に入り込むことができるファイルであった。