1412大竹文雄著『行動経済学の使い方』

書誌情報:岩波新書(1795),x+201+23頁,本体価格820円,2019年9月20日発行

行動経済学の使い方 (岩波新書)

行動経済学の使い方 (岩波新書)


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行動経済学の基礎理論,ナッジ,さまざまな場面への応用について解説している。行動経済学の特徴としてナッジがある。「軽く肘でつつく」という意味で,ノーベル経済学賞受賞者のリチャード・セイラーは「選択を禁じることも,経済的なインセンティブを大きく変えることもなく,人々の行動を予測可能な形で変える選択アーキテクチャーのあらゆる要素を意味する」としている(本書44ページから)。われわれの行動をよりよいものにする誘導するものがナッジである。

プロゴルファーの損失回避,長期失業,社会保障給付申請,無断キャンセル,医療・健康活動や公共政策への応用など実際の行動にすぐにでも行動経済学の知見を活用できる。

賃金上昇は継続的に,賃金カットは納得のいく理由を示して一回だけという実験,軽減税率は定額給付金よりも室の悪いバラマキ政策ではるという見地,事業主は事業主負担の社会保険料分だけ賃金を引き下げるという伝統的経済学の陥穽の指摘には頷いた。

「この場足」(90ページ)はこの場合,「この場合」だろう。どうしてこんな誤植になったのか不思議だ。誤植を防ぐナッジはまだ知らない。

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