076経済理論学会第58回大会2日目

午前中は第20分科会「変革と社会理論」に出席し,斉藤日出治(大阪産業大学)「経済学の言説と市民社会ヘゲモニー闘争」(当日のタイトルは「制度経済学の言説と市民社会の統治テクノロジー」),秋山道宏(一橋大学・院)「現代における社会科学の展開とカール・マルクスの社会理論――「カテゴリーの人格化」を観点とした土台・上部構造論の再検討――」,武井博之(大阪経済大学)「現代日本における「シャドウ・ワーク」の復権――『資本論』等における変革主体形成の探求――」を聞く。
斉藤報告はフーコーの統治テクノロジー論紹介が評者の問題意識と重なった。フーコーの「介入する統治」・「秩序創設的行動」という新自由主義の統治テクノロジーを使って国家の市場への積極的介入や市場競争による政治的主権の生産とする特徴づけは権力の考察(「規律権力」と「生権力」)と結びついていたことを知る。
昼の幹事会を経て,共通論題「社会経済システムの変革と政治経済学の課題――日本は変わるか――」を聞く。長島誠一(東京経済大学)「グローバル資本蓄積の矛盾とエコロジカル社会主義」,小幡道昭(東京大学)「新たな資本主義の勃興と原理論の課題――資本主義の多重起源説――」,森岡真志(立命館大学)「社会主義とは何であったか/何でありえるか――科学・闘争・規範――」の三本立てだ。もっともクリアな報告は社会主義思想の規範を問題にした森岡報告。
今朝はたまたま同宿だった学部時代の後輩とタクシーで関大正門に向かう。関大を会場とした試験の受験生で混み合っている。正門手前で降りたところ松尾匡さんに声を掛けられる。会場では何年ぶりかで顔を合わせた先輩・後輩・知人も多かった。