906木暮宣雄著『アーツマネジメント学――芸術の営みを支える理論と実践的展開――』

書誌情報:水曜社,226頁,本体価格2,800円,2013年3月27日発行

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アーツマネジメントの実践と研究はおおよそ20年の歴史だという。ハコもの施設への批判,企業メセナの取組,文化行政の進捗,アートNPOの台頭などが背景にある。
長らく自治省(現総務省)で自治体経営の企画財政・芸術文化に関わってきた著者によるアーツマネジメント論はカタカナ語から日本語化への提案を含んでいる。「芸術営」である。営利,不営利を問わずアーツ部門におけるマネジメントという意味を込めている。アーツマネジメント学を「芸営学」,アーツマネージャーを「芸営者」とする提案もある。
その意味を強く打ち出すのであれば本書のタイトルは「芸術営」がふさわしい。鶴見俊輔の「限界芸術論」を拡張した芸術概念の拡張(アウトサイダーアーツ・応用芸術・芸術療法)こそ著者の創見というべきであろう。