書誌情報:東京書籍,243頁,本体価格1,400円,2014年9月3日発行
- 作者:土屋 守
- 発売日: 2014/08/30
- メディア: 単行本
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1962年に来日したヒューム英副首相が「スコットランドで40年前,一人の頭の良い青年が,一本の万年筆とノートでわが国の宝であるウイスキー造りの秘密を盗んでいった」と発言し話題になった。この青年こそマッサンこと竹鶴政孝である。
マッサンがスコットランドで見聞したことを勤務先の摂津酒造の上司に提出したノートが1985年に見つかった。その上司がのちに大阪大学教授になり,弟子に託されていたという。このノートの本文を再掲しノート中のイラストをもとに書き起こした図,写真,註が本書の中心である。摂津酒造で国産ウイスキーをつくるべく麦芽製造,糖化,冷却,発酵,蒸留,貯蔵,税,価格,製樽など詳しい。ほかに,労働問題,社員待遇,販売方法まで調べてある。当時,摂氏ではなく華氏だったこと,日曜日の蒸留が禁止されていたこと(蒸留機は税務官によって封緘される),ウイスキー工場では職工のストライキが起こったことがないことなども記している。
著者によるスコットランド現地修業を終えて帰国するまでの半生の記録と政孝の甥で養子となりニッカ社長となる竹鶴威との対談も収録されている。
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