1853飯田未希著『女たちよ,大志を抱けーー戦時下,外地で就職するーー』

書誌情報:中公選書(160),301頁,本体価格2,250円,2025年9月10日発行

「外地」は今使っているグーグル日本語入力で一発変換とはいかなかった。戦後80年,「敗戦前,日本の領土であった外国の土地。朝鮮半島・台湾・南樺太などの称」(『新明解国語辞典』第5版)は,死語になりつつあるということだろうか。
戦前から戦中にかけてその外地に職を求めて大勢の若い女性が海を渡った。タイピスト,電話交換手,デパート,ホテル,病院などの求人が数多くあり,職業紹介所と求人広告がそれを証明している。外地で活動する国策会社や民間会社が求人元である。日中戦争期の北京には千人を超える女性労働者がいたという。インドネシアシンガポールマレー半島,フィリピンなど「南方」にも仕事があった。軍属の場合も軍が進出を許可した財閥企業などの民間の場合もあった。
とかくすれば戦前・戦中期の女性といえば,従軍慰安婦に目がいく。内地から外地に大志を抱いて飛び出した若い女性群像を可視化した本書は類書がないだけに貴重だ。