書誌情報:集英社新書(0556D),237頁,本体価格720円,2010年8月22日発行

- 作者:杉田 米行
- 発売日: 2010/08/17
- メディア: 新書
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12のトピックでアメリカを知る手がかりを提示してくれている。独立宣言,南北戦争,アメリカ国歌,奴隷制度,二大政党制,アメリカ社会党・共産党,ニューディール政策,保険健康保険制度,戦争,原爆,女性の権利,そしてベトナム戦争(本書での表記はヴェトナム)である。
独立戦争は重税ではなく大英帝国における北米植民地の地位に関する認識の相違にあったことや奴隷解放はあくまでも連邦統一の手段であったこと,社会党や共産党は1930年代まで大きな影響力をもっていたこと,アメリカの関係した戦争は謀略が絡んでいたことなど歴史から見えてくるアメリカの一面を切り取っている。
「巨大な人工国家」(62ページ)・「矛盾を抱えた超大国」(232ページ)・「成熟した民主主義国家」(同上)アメリカ。著者が描くアメリカの十二面相はアメリカという国の多面性のあらわれだ。新しい国家とはいえ過去の歴史の積み重ねが現在のアメリカを作っている。通史や事件史からは見えてこないアメリカという国の現在を知る手がかりになる一書である。
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