851『墨』223号特別企画「三輪田米山」

書誌情報:芸術新聞社,248頁,本体価格2,350円,2013年7・8月号,2013年7月1日発行

墨 2013年 08月号 [雑誌]

墨 2013年 08月号 [雑誌]

  • 発売日: 2013/07/01
  • メディア: 雑誌

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「四国は伊予松山の書人,三輪田米山。1821(文政4)年に生まれ,1908(明治41)年に歿す。幕末・明治の激動の時代を一人の神官として生きながら,「独往邁進」とも称される唯一無二の書を残した。米山の書はいま,私たちに何を語りかけているのか」。
このリードで特別企画「三輪田米山――その書が,いま語りかけるもの――」が15ページにわって組まれている。書家の二松學舎大学・高(正確には「はしご高」)澤浩一が米山の生涯と作品を豊富な写真と洒脱な文で解説している。米山を見いだした大阪の実業家・山本發次郎の審美眼を引き合いに出しながら非高踏的な米山作品に惹かれる思いを綴り,石文揮毫,墓誌,神名石(しんめいせき)――神社の社前に社名を刻んだ石――,注連石(しめいし)――注連縄を結くための石――に見られる一見稚拙にみえながら変幻自在の書を語っている。古典(楷書や王羲之)に学び,なんども水書き臨書したという。
「書は本来,実用的であり,何よりも普遍的のはずである」(147ページ)。米山の魅力を語り,書とは何かを米山から学ぼうという著者の意気込みが伝わってくる。