1016ナイルズ・エルドリッジ著『ダーウィンと現代――「生命の樹」の発見――』

書誌情報:麗澤大学出版会,xv+253頁,本体価格7,600円,2012年6月15日発行

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2009年はダーウィン生誕200周年,『種の起源』出版150周年に当たっていた。著者は,アメリカ自然史博物館学芸員であり,日本でも開催された「ダーウィン展」(関連エントリー参照)のキュレーターを努め,その成果を本書にまとめた。
本書の力点はダーウィンのノートや未完の草稿を繙きダーウィンの思考過程,とりわけ創造論者から進化論を提唱するにいたる過程に置かれている。標本や遺物を専らとした展示と異なり,分析と解説を加える書物の良さを引き出しており,カラー図版を多数含みながら図録とも一線を画している。
進化論は学説ではなく事実であると言われることがある。みずからが創造論から出発したダーウィンであればこそ,「科学の世界と宗教の世界を断ち切った」(12ページ)とする著者の視点の先には21世紀の創造論があり,それへの批判的言及がきちんと書き込んであった。