書誌情報:彩流社,274頁,本体価格1,800円,2010年2月1日発行
- 作者:中川 文人,外山 恒一(聞き手)
- 発売日: 2010/01/28
- メディア: 単行本
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学生時代からヘルメットにはとんと縁がなく,ヘルメットを被る連中には一種の憧憬とも畏敬ともつかぬ感懐を持ってきた。85年からの10年間という時期の法政大学黒ヘル(いわゆる新左翼のうち中核派,革マル派,解放派,戦旗派などに属さない「ノンセクト・ラジカル」のこと)の中核派(白ヘル)との「攻防」を語った本書は,そんな期待を見事に裏切ってくれる。
「80年前後の日本の若者たちの思想・文化運動が全共闘運動の新展開としてあった」(インタビュアー・外山恒一の「まえがき」)が,80年代半ばには「日本の学生運動がいよいよ壊滅」(同上)する。そのなかにあって,法政大学学生会館内における主導権争いは,「当時の”社民・最左派”の一翼を成しながら,しかしその主流とは切り離され隔絶して発生し展開してしまった,”ガラパゴス諸島の闘争”」(同上)というわけだ。
学生会館自主管理が自己目的になり,社会と隔絶した学生運動の縮図がある。元中核派Mが「敵側」ではひとり実名で登場しているのは,元全学連委員長にして突然戦線離脱し今は某大学の教員ということもあるのだろう。
自主管理しながら大学からのカネをもらい,大学も当然のように払う。これを「なれあい」というのではなかったか。
ともあれ,世がバブルに浮かれた時代にある大学の新左翼内の争いに青春を燃焼させた「革命家」がいたのだった。
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